フルートを始めた中学生のみなさん。どんな教則本を使って良いのか、迷っていませんか。

部活でもっと上手に吹きたい!コンクールに出場したい!音楽高校に進学したい!とそれぞれの思いがあると思います。今日は私がオススメする教則本やエチュードをいくつかご紹介します。

 

フルートレッスンで揃えておきたい教則本

楽譜は一生の宝物です。先人たちの研究結果である教則本はどれもためになりますが、中学生の時に学んでおきたい本をご紹介します。

マルセル・モイーズ「ソノリテについて 方法と技術」

フルートを学ぶ上で、絶対に持っておきたい、と言っても過言ではありません。プロのフルート奏者も必ず持っており、今もバイブルにしている人や、学生の頃に大変お世話になったという人ばかりです。

「第一部 音色と全音域の音の同質性について」

「第二部 特に低音域における音の柔軟性について」

「第三部 アタックと音の連結について」

「第四部 音の豊富さについて」

「第五部 演奏における音の統制について」

以上の5つの項目からできており、特に第一部の練習は、中学生の基礎練習に最適な項目です。フルートは3オクターブの音域を演奏することができ、その音域ごとに息のスピードや方向が変わってしまう傾向にあります。それらを同質にすることが可能になれば、いずれ音質をコントロールすることができるはずです。

最初のうちは、音出しや半音階の運指を覚えること、そして自分の音と向きあうために、この練習を使うことをオススメします。

 

タファネル&ゴーベール「17のメカニズム日課大練習」

パリ音楽院の教授を務めたタファネルが弟子のゴーベールとともに完成させた、日課大練習です。こちらもプロになったフルート奏者は必ず持っており、みなさんボロボロの楽譜になるほど、さらった形跡があります(私の楽譜は表紙がちぎれてしまいました…よく練習したのか、扱いが悪かったのか…)。

長調の音階、短調の音階、半音階、音程、分散和音、トリルの練習が、合計17種類提示されています。

ゆっくりと時間をかけて指をプログラミングし、速いパッセージを吹くための基礎固め、音程の把握、そして根気強さを手にするためなど、色んな要素を含む訓練です。語学の学習における、単語を覚えて語彙力を高める時間に似ています。

最初はとにかくじっくりと、自分の音を聴きながら1番、2番、4番を練習し、音階と自分のクセを覚えることをオススメします。

 

アルテ「フルート教則本 第1巻」

フルートの持ち方、組み立て方から楽語まで丁寧に教えてくれる1冊です。章が新しくなるごとにわかりやすく説明されているので独学の方にもオススメですが、二重奏の部分も多くあり、レッスンでは先生とのアンサンブルを味わうこともできます。私はレッスンの中でたまに訪れるこの二重奏の時間が大好きで楽しみでした。

また、巻末にはガリボルディのミニヨン・エチュードOp.131もついており、教則本が終わる、または並行してOp.131を取り組むこともできます。

 

フルートの学習を進めるエチュード

教則本とは別に、「1曲を仕上げる」という概念も必要です。曲想を考えたり、フレーズの歌い方を感じたり、楽譜に”書かれて”いるものが ”音楽になる”という感覚は、誰しもに持っていて貰いたいです。また、1曲を「吹き切る」、というのも必要な体力づくりです。

ケーラー「35の練習曲 Op.33 第1巻」

ケーラーは、イタリアで生まれ、イタリア、ウィーン、サンクト=ペテルブルクで活躍したフルート奏者です。

メロディ、ハーモニーの美しさが特徴です。その中に必要な技術、耐久力が含まれており、非常にバランスの良いエチュードであることから、音楽高校の受験曲になったり、コンクールの課題曲に取り上げられたりしています。♯は4つ、♭は3つまでで構成されています。

(長年、CARL FISCHER版がよく使用されていましたが、現在のところ乱丁が多く見つかっており、ZIMMERMANN版を使用する人が増えています。)

ガリボルディ「20の旋律的練習曲Op.88」

ガリボルディは、イタリアに生まれ、パリを中心に活躍したフルート奏者、教師、指揮者です。

こちらも美しい練習曲で、のびのびと歌い、豊かに表現することを目的としています。また、至る所に難しいパッセージや装飾音符が含まれており、演奏技術を高めるためにも相応しい1冊となっていることから、こちらもコンクールなどでよく取り上げられます。序文には、演奏の明確さ・リズム・ニュアンスの3点に気をつけて演奏するように書かれています。

先ほど挙げたアルテの巻末に付随しているOp.131を終えてこちらに取り組むことをオススメします。

♯は4つ、♭は5つまでで構成されています。

ケーラー「25のロマンティックエチュードOp.66

25曲全てに表題がついており、曲想が広がります。豊かな音楽表現と基本的なテクニックを学べる1冊です。

1.スウィング(ブランコ) 2.人形のワルツ

3.からかい       4.なぐさめ

5.指の練習       6.噴水

7.月の光        8.ジグザグ

9.オクターブ      10.つばめ

11.タンタロスの苦悩   12.手を繋いで

13.別れ         14.ダブルタンギング

15.糸車         16.近代風カンタービレ

17.トリルと前打音    18.風

19.虫のダンス      20.ロシアの踊り

題名を見ているだけでも、惹かれますね!

 

最後に

中学生のためのフルート教則本とエチュードについて、今日は6冊ご紹介しました。

もちろん、個人のレベルや先生の進め方などによって、上達にはたくさんの道があるので、自分にあった本を探してみてくださいね。

また、今回ご紹介したうちの2冊、私の演奏でYoutubeにアップしているので、是非ご覧くださいませ!

ケーラー「35の練習曲 Op.33 第1巻」

ガリボルディ「20の旋律的練習曲Op.88」

 

 

関連記事  初心者必見!フルートを始める前に知っておくべき基礎知識