今回も前回に続き、音程についてお話します。

音程をとれない状況には2つの原因があると書きましたが、2つめの原因、「周りの音を聞けていない」を少しでも克服する方法になればと思います。私もまだまだわからないこと、できないことがたくさんで、“音程”というのは永遠の課題の1つだと壁にぶつかるたびに思わされます。「百聞は一見に如かず」、やっぱりアンサンブルする“その場”で学ぶことが1番大きく身になりますが、毎日その環境にいる人ばかりではありませんよね。また、それだけでは足りない場合もあります。そこで“1人でもできる周りを聞く練習”を探しました。

アンサンブルするとき、自分の音ばかり聞いてしまう。周りを聞く余裕がなかなか生まれない。そんな声をよく耳にします。とってもよくわかります。そこで、またも登場!チューナー大先生のお力を借ります。多くのチューナーにはSOUND機能がついています。その音を鳴らしながら練習を続けます。私はReichertのSeven Daily Exercises Op.5を使ってこの練習をしています。
方法は簡単です。例えばNo.1で練習する場合。

フルート曲 Seven Daily Exercises Op.5 楽譜

1段目はC-dur。チューナー先生にCの音をならし続けてもらいます。そのチューナーのCの音を聞きながら、まるでその音に包まれているようにCの音を体で感じながら、1段目をゆっくり吹きます。できれば1息で。難しければ3小節目の最初の音、Aの音のあとにブレスを入れてください。何度も出てくるCの音(3オクターブ全て)が、チューナー先生のCの音と外れないように気を付けます。そして最後にまた答え合わせの瞬間がやってきます。最後のCの音、少し伸ばしてみましょう。チューナー先生と同じ音程で吹けているかを確認します。

これを続けていきます。a-mollのときは、チューナー先生にはAの音を鳴らしてもらいます。F-durのときはFの音を。d-mollのときはDの音を。こうして続けていくと、“なっている音”の中に「入る」感覚を少し、覚えられます。また、チューナーと主音を合わせることになれてきたら、今度は第3音、第5音も、“ハモる”音程で吹くようにチャレンジします。例えばC-durの場合、Cの音に加えてEの音とGの音もチューナー先生のCとよく“ハモる”音程で吹くことを心がけます。こうして、自分の耳の感覚を養っていくのです。すると、いざオーケストラや吹奏楽、室内楽のメンバーの1人となって音程を合わせるとき、少し周りを「聴く」ということができるようになる、と思います。

この練習は、もちろんReichertの教本だけではなく、様々な楽譜で応用することができます。例えば実際にアンサンブルで使うフルートパートの譜面でも。音程が気になる場所で、周りがどんな音をならしているか、調べてみてください。その音をチューナー先生にならしてもらいながら、自分のパートを練習します。正しい音程で吹くこと、そして自分ではない音を聞く練習になります。是非、耳を使って周りの音をキャッチできるよう、挑戦してみてくださいね。

関連記事  音程について